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事務所通信
 クロスボーダー組織再編 – 株式交換の諸形態と税制改正の方向 –-2006年07月31日
   国際税務ニュースレター

今回のテーマ:クロスボーダー組織再編 –株式交換の諸形態と税制改正の方向–


 4月25日付の日本経済新聞は、新会社法により平成19年5月から解禁される外国株を使った企業買収(M&A)に関し、政府が株主課税の繰延を検討していることを報じています。
 検討の対象とされているM&Aの態様は、外国企業が日本に設立した子会社を受け皿(存続会社)にして、既存の日本企業を合併・買収する三角合併という再編手法です。この再編手法は、買収される日本企業の株主の立場から見れば、投資先企業の株式と外国企業の株式と交換です。同紙の見出しにも、株式交換の税制整備という表現が用いられています。
 さらに、5月21日付同紙は、外資による日本企業M&Aに関し、政府が株主への課税を実際の売却時点まで繰延べることをすでに固めていると報じています。


1 新会社法における組織再編対価の柔軟化と株式交換の諸形態

(1)旧商法下では、被合併会社の株主に対し、存続会社の株式を交付しない合併は認められないと考えられていました。しかし新会社法749条は、合併に際して存続会社の株式を交付せず、金銭その他の財産を交付することを認めました(いわゆる「対価柔軟化」)。この対価柔軟化により、平成19年5月以降、海外の親会社株式を使った合併(三角合併)が可能となります。

(2)さらに旧商法下と同様、株式会社は他の株式会社または合同会社と「株式交換」を行なうことにより、二つの以上の会社と100%親子関係・完全支配関係を構築することができます(新会社法767条)。この場合、両社間で「株式交換契約」が締結されることとされています。新会社法では、対価柔軟化により、海外の親会社株式を交換の対象とする三角交換も認められます。

2 株式交換の形態に応じた税務上の取扱い

(1)日本経済新聞が報じている株主課税の繰延とは、上記1(1)の三角合併に伴う日本企業株主の課税問題です。現行税法では、交換の対価として存続日本企業株式を受取るのであれば、一定の適格要件を満たしていることを条件に、当該株主が当該日本企業株式を売却した時点まで課税が延期されます。
 それでは、日本企業株主が、交換で受取った株式を保有したまま海外に移住した場合、以後の課税関係はどうなるのでしょうか? 非居住者となった後に、株式を譲渡するケースです。将来の譲渡時点においても日本の課税権が及ぶか否かが問題となります。このような場合でも、持株割合が一定以上の日本企業株式(いわゆる事業譲渡類似株式)の譲渡であれば、日本の課税権は最低限確保されます。
 しかし、新会社法が認める三角合併において、株主が受取る株式が外国企業株式だとすると、事情は幾分変わってきます。なぜなら、改正税法が、三角合併時点の株式譲渡益課税繰延を認めるとしても、譲渡時点で株主が非居住者となってしまえば、現行税法を前提とする限り、譲渡時点での日本の課税権は、すべて失われてしまうからです。
 したがって、外国企業株式が交付される三角合併に対して、日本の課税権を確保するためには、単なる課税繰延以上に、何らかの方策が講じられることも考えられます。

(2)上記1(2)の「株式交換」については、平成18年改正税法により、同年10月1日以後、完全親法人株式以外の資産が交付されない場合に限り、株式譲渡益課税の繰延べが認められることとされました。しかし、三角交換の取扱いについての特別な規定は措置されませんでしたので、三角合併と同様、わが国課税権の確保を巡る検討が行なわれるものとみられます。

3 クロスボーダー組織再編に関する国際課税上の検討課題

 外国企業株式を対価として用いる株式交換(三角合併・三角交換)を行うために、外国企業(F)が、日本企業(S)との株式交換を目的する子会社(P)を設立したとします。
 三角合併を行う場合には、P社を存続会社、S社を消滅会社として、S社の既存株主にF社株式を交付します。三角合併により、S社はP社に吸収されますので、外国企業F社はS社を実質的に子会社化したことになります。
 三角交換の場合には、S社の既存株主にF社株式が交付されると同時に、P社にはS社の既存株主からS社株式が交付されますので、三角交換後は、S社はP社の子会社(外国企業F社の孫会社)となります。  
 仮にF社が、タックス・ヘイブン国に設立された法人であれば、上記いずれの株式交換の方法によっても、タックス・ヘイブン国法人を日本企業の親会社とすることができます。
 このように企業活動の実態はそのままにして、企業の所有を国外に移転するいわゆる「コーポレート・インバージョン」(Corporate Inversion)による租税回避行為(タックス・ヘイブンに設立した子会社を親会社化することにより、外国子会社合算課税の適用を免れる行為等)は、改正税法の検討課題であるとされています。(税制調査会第46回総会・第55回基礎問題小委員会(6月2日開催)配布資料:平18.6.2 総6-4 基礎小55-4)。


お見逃しなく!
 新会社法767条の「株式交換」は、旧商法352条の「株式交換」を改正した制度です。平成18年税制改正前は、租税特別措置法の取扱いにより、現金等の交付が5%未満である場合に譲渡益の繰延が認められていましたが、会社法施行にともなう税制改正により、譲渡益の繰延は、法人税法の組織再編税制に組み込まれました。改正法人税法の規定では、本文2(2)述べたとおり、対価として交換後に親会社となる株式のみの交付を受けた場合、譲渡益の繰延が認められることになりました。


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