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事務所通信
 海外投資家に対する課税強化(各論)〜平成17年度税制改正〜-2005年06月20日
   国際税務ニュースレター

今回のテーマ:海外投資家に対する課税強化(各論)〜平成17年度税制改正〜


 平成17年度の改正所得税法では、国内源泉所得の規定振りに変更がみられます。同法は、国内において、わが国の民法組合契約に類する契約に基づいて行う事業から生ずる利益のうち、組合契約の定めにより各組合員が配分を受ける金額を国内源泉所得に加えました(改正所得税法161条第1号の2)。
 改正前においても、このような所得は、国内において行う事業から生ずる所得として国内源泉所得に含まれていたはずです(所得税法161条第1号)。改正法では、なぜ同一種類の所得を、号を改めて規定する必要があったのでしょうか?

1 所得税法改正前にくすぶっていた問題点

 改正所得税法の政令は、対象となる組合契約に類する契約として、わが国の投資事業有限責任組合契約、これらに類する外国における契約を含めるとしました(所得税法施行令281条の2第1項)。
 投資事業有限責任組合とは、いわゆるベンチャーキャピタルが内外の投資家から資金を集めて、未公開会社に投資を行う際に利用される投資媒体です。業務執行は無限責任組合員に委ねられ、投資家の多くは有限責任組合員として、利益の分配を受けます。投資ファンドを海外で組成する際に利用されるパートナーシップ契約等は、政令が定める「これらに類する契約」に該当します。
 では海外投資家は、以上のような組合契約等を通じて得た株式売却益を、これまで申告納税していたでしょうか?おそらく、例外的なケースを除き、申告納税していなかったと思われます。多くの外国人投資家は、税理士等専門家の判断を仰いだうえで、申告する必要がないと判断してきました。なぜなら、国内における事業から生ずる所得は、投資家の恒久的施設(Permanent Establishment : PE)が日本になければ課税されないからです(所得税法164条第1項第4号)。具体的には、投資ファンドが運用する株式等のディーリング指示が、海外から直接行われている限り、組合等にとって、自ら事業を遂行するための物的施設(1号PE:所得税法164条第1項第1号)も、契約締結権限を有する代理人(代理人PE:所得税法164条第1項第3号)いずれも、国内に存在しないと言えるからです。
 しかし課税当局は、このような海外投資家の多くは、投資利益を日本で申告納税する必要があったと考えていました。海外投資家が構成員となっている投資ファンドの多くが、業務執行権限のある国内組合員等によって運営され、それらが海外投資家の代理人PE等に該当するものと考えているからです。そのような解釈ならば、当局は、当然無申告者に対する申告指導や所得税の決定(国税通則法25条)を行ってきたはずですが、課税技術上の問題に阻まれ、意図したような課税は行われてこなかったとみられます。

2 源泉徴収義務の拡大

 改正所得税法212条第1項は、非居住者に対する源泉徴収の範囲に、上述の所得税法161条第1号の2に定められた組合の利益を含めました。ただし、同条のかっこ書きは、国内にPEを有しない非居住者に対する利益については、源泉徴収の範囲から除くとしていますので、結局は、PEの有無が課税・非課税の分かれ目となり、依然としてPEの有無をめぐる解釈問題は、くすぶり続けることになると思われます。
 ちなみに、平成17年4月の国税庁「源泉所得税改正のあらまし」は、同条のかっこ書きについて具体的に触れていませんので、注意が必要です。いずれにせよ当局は、組合契約等を通じて投資を行っている海外投資家について、国内にPEがあるとする解釈を行っているものとみられますので、海外投資家への課税は、この源泉徴収義務の創設により強化されたと考えられます。源泉徴収税額は、課税対象となる利益(収入マイナス費用)の20%です。組合利益の計算期間の末日の翌日から2か月を経過する日までに、金銭等の交付が行われない場合には、その2か月を経過する日に源泉徴収を行う必要があります。

3 海外法人投資家に対する課税

 外国法人の国内源泉所得の範囲は、法人税法138条に定められていますが、同条の改正はありませんでした。源泉徴収義務の拡大は所得税法を改正するだけで十分であり、法人税法を改正する必要はないからです。つまり、所得税法161条第1号の2の追加は、新たな国内源泉所得の創設ではなく、源泉徴収義務を拡大するための技術的な改正として位置づけられます。

4 事業譲渡類似株式の譲渡利益に対する課税強化との相違

 改正所得税法は、海外投資家が、民法組合等を通じて保有している事業譲渡類似株式の課税要件を、各組合員の保有割合ではなく、組合全体の保有割合が25%以上かどうかで判定することとしました。
 新たに制定された民法組合員等に対する源泉徴収制度との相違は、事業譲渡類似株式の譲渡利益に対する海外投資家への課税は、PEの有無とは無関係に行われるという点です。ただし、海外投資家の居住地国との租税税約で、譲渡収益に対する源泉地国での課税を免除している場合には、本制度による課税は行われません。

お見逃しなく!
 改正所得税法では、所得税法161条第1号の2に掲げる国内源泉所得の支払者は、支払の確定した日から1か月以内に支払調書を税務署長に提出することとされました(所得税法225条)。源泉徴収義務と支払調書提出の制度化により、申告納税段階における海外投資家に対する課税技術上の問題点は、克服されたと考えられます。

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